窯だより バックナンバー 2024年 5~8月
残暑お見舞い申し上げます。
前回に引き続き、自治会の話題で申し訳ありません。
これでは”窯だより”でなく、”自治会だより”のようですね。
でも案外みな様の生活にもお役に立つかと思いましたもので。
じつは先週末、大倉自治会館の玄関上にスズメバチが
巣を作っているのを役員の一人が発見しました。
それまで誰も気付かずにいて、もう径15センチほどになっています。
9月は初頭から自治会館を使う行事が立て込み、
このままでは支障をきたすこと必定ですし、被害者が出るやも。
しかし、スズメバチの駆除は非常に危険な行為、
専門業者に依頼するしかありませんが料金が心配です。
そこで、秦野市市民活動支援課へ相談に行くことになりました。
すると意外なことに紹介されたのは害虫駆除業者ではなく、
「シルバー人材センター」だったのです。
それって、ふつう公園の草刈りとか民家の庭木の手入れなどの?
少し不安な気持ちを抱きながら、まずは電話を掛けてみました。
で、電話に出た事務の女性に事の次第を説明すると、
「分かりました、料金は大きさに関わらず一個1万円です。
担当の者が駆除に出てるので、戻り次第そちらへ参ります」と。
で、来て下さいました、軽自動車で僕と同年配のお二人。
件のスズメバチの巣を見るなり、
「あ、これですか、駆除に2分、10分で全て終わりますから」と、
クルマから道具を出すや着替えもせず、素足に突ッカケのまま。
あっという間の出来事でした。
あとで聞いたり調べたところ、専門業者の料金は3万5千円以上。
”シルバー人材センター”恐るべし、というお話しでした。
2024.8.16
先週末、地元の堀山下連合自治会が主催する「納涼大会」が開催された。
この連合自治会は秦野市堀山下地区の8自治会の集まりで、
その各会長・副会長の16名に会計・書記4名を加えた総勢20人の役員が、
準備から納涼大会進行、撤収まで行っているが、
平均年齢65才を超えるジジイ軍団には、かなりハードだ。
納涼大会自体は陽が落ちてからの行事だが、
設営・撤収は灼熱炎天下作業であり、まさに決死隊の様。
今回も朝8時、大倉バス停がある県立秦野戸川公園広場に終結、
鉄骨製の盆踊りやぐら舞台の組み立てや、テント設営に四苦八苦、
それでも正午すぎには会場が出来上がったのであった。
ところが直後、公園背後の丹沢表尾根上に怪しい入道雲が湧き上がる。
とたん、空はにわかに掻き曇り・・・、
最近あちこちを襲っているゲリラ雷雨へ一変!、ドシャ降りとなった。
納涼大会の開会は夕方6時、なのに4時を過ぎても降りやまぬ雨。
役員一同ボーゼン!、中止已む無しと追い込まれた。
ところがである、キセキは起きた!
開始直前に見る見る雲が薄くなって流れ去るでないか。
そして、雨後の涼しい風が会場に吹き渡ったのである。
こうして、堀山下連合自治会主催「納涼大会」は盛会のうちに終了した。
2024.8.1
1年半ぶりに3日ほど上方の旅、大阪の街を楽しんで来た。
約2年間の改修工事を終えてリニューアルオープンした
中之島の”大阪市立東洋陶磁美術館”に招待頂いていたのと、
5月に克童作品をコレクションして下さった奈良の”緑ヶ丘美術館”訪問、
”髙島屋大阪店”での来年5月の個展打合せ、その三つが今回の目的。
あとの時間は、今まで気になりつつも足を運ぶチャンスが無かった所へ。
万博記念公園の”国立民族学博物館”とシンボル”太陽の塔”、
鶴橋の”大阪コリアンタウン歴史資料館”と百済門が並ぶ”御幸通”、
日本最初のケーブルカーで登る”生駒山”と途中駅にある”宝山寺”、などなど。
そして日が暮れて、一杯やってからは毎度お決まりの、道頓堀ブラブラ歩き。
とんぼりリバーウォークは、人、人、人の大混雑。
こんな賑わい、いったい何年ぶりだろう。
リバークルーズ船は隙間なくビッシリの乗船客で溢れそうだ。
あれ?見渡せば外国人ばっかりじゃないか、
今って、こうなってんのォ~~!
来年の大阪万博に会期を合わせた個展が、今から楽しみになったのである。
2024.7.15
6月27日の朝刊に、現代美術家の三島喜美代さんの訃報が載った。
お歳も91才になられるので無理もないが、つい先日5月下旬から
練馬区立美術館で「三島喜美代―未来への記憶―」という大規模な、
これまでの仕事を振り返る展覧会を開催中のことで、ちょっと驚いた。
冒頭に現代美術家と書いたが、これは三島さんが常々発言している
「私は陶芸家でなくて現代美術家」のことばを尊重してのこと。
作家歴中30代半ばまではコラージュによる絵画制作が主であったが、
1971年の「日本陶芸展」へ”薄く延ばした陶土に新聞紙面を転写し焼成”した
作品を前衛部門で発表して以後、段ボール、飲料缶、マンガ雑誌など、
身の周りにあふれる情報やゴミをテーマに半世紀にわたり作陶してきた。
1974年には、イタリアの「ファエンツァ国際陶芸展」で金賞を受賞している。
そのほとんどはリアルサイズ作品であるが、モニュメント的作品に
2005年、香川県・直島に高さ約5mのゴミ箱の巨大オブジェ
「もうひとつの再生・2005-N」を制作し話題となり、今も時折TVで目にする。
三島喜美代の作品は大英博物館や米シカゴ美術館にも収蔵されていて、
2021年度に文化庁長官表彰を受けている。
あの、スーパーお婆ちゃん作家の訃報に、なんか力が抜ける感じがした。
2024.7.3
伝統工芸神奈川研究会の委員会があって、横浜まで出かけた。
3年まえに陳列の手伝いだけだからと頼まれて
”展覧会協力委員”をお引受けしたら、おととし普通の”委員”に。
そして昨年から何時の間にか”会計監査委員”へと、
どうやらワナに嵌ったらしく、ドップリ浸からされてしまった。
でもまぁ、年に幾度も駆り出されるわけでもないし、
委員会の会議は駅近くのミーティングルームにて午前中で終了。
横浜近辺のあちらこちら散策する良い機会と思うことにしている。
さて今回は、横浜市内最古の寺院「弘明寺ぐみょうじ」を初めて参拝してきた。
弘明寺の創建は平安時代中期かそれ以前とされ、
本尊である「十一面観世音菩薩立像」は国指定重要文化財である。
像高181.7㎝、ハルニレ一木造りの平安中期作で、
関東に遺る「鉈彫仏像」の典型的な作例として名高い。
鉈彫りとは丸ノミの彫り跡を像表面に残した特殊な彫り口のあるものを言い、
この十一面観音のように細い指先までノミ跡がハッキリ残る様を、
本当に間近に、それもガラス越しでなく拝観できるのは稀だ。
京急の弘明寺駅から行って、帰りは市営地下鉄の弘明寺駅から乗ったが、
二駅を結ぶ参道商店街は、どこか浅草にも似た下町風情が漂っていた。
2024.6.15
渋谷・松濤美術館の「没後120年 エミール ガレ展」に行った。
アールヌーボーを代表するフランスのガラス作家として高名であるが、
僕は たまにTVの鑑定団に出てくるランプ作品くらいしか知らず、
一度ちゃんと見ておかねばと思っていたのである。
今回のガレ展は、初期作品から晩年の、
晩年といっても58才の若さで病死しているのだが、
その工芸作家として活動した期間を通観しての120余点による構成。
日本国内に秘蔵されていた、研究者さえ初見という
未公開作品を含むかつてない展覧会だそうだ。
そして、知らなかったが、ガレはガラスだけでなく、
陶器の食器や動物形置物、木工の飾り棚など家具まで、
素材の異なる作品も手掛けていたのであった。
ガレは、意外にもマルチプレイヤーだったのである。
言ってみればガラス作家としても、制作は職人たちと協力しての、
ディレクター&デザイナー的スタンスのスタジオ生産なのだから、
ガレにとっては生活空間すべてが創作エリアだったのであろう。
ところで、ガレの代表作はランプであり、そのイメージが万人共通と思うが、
ガレ工房があった地方に電気が引かれたのは1902年のこと。
なんと、ガレが亡くなる2年前のことなのだそうだ。
まあ、とにかく知らない事づくめで、
同じ工芸の世界に身をおく自分が恥ずかしいばかり。
でも、エミール・ガレの魅力に心底浸る展覧会だった。
神秘的な美しさが、会場内を通奏低音のごとく流れているのを感じた。
2024.6.1
”予定のページ”でお知らせしていた「第52回 伝統工芸陶芸部会展」が一昨日終了しました。
今年は個展でもサブタイトルとした系列の<灰釉きら彩茶碗「織ori」>を出品。
しかし、作品搬入が個展と重なって写真撮りできず、別の画像でお知らせしていました。
ここで改めて帯色パターンが違う、出品した茶碗作品をご紹介しておきます。
すっきりとした青と緑の2色パターンです。
ところで、この茶碗、お買い求めいただきました。
それも、所望されたのは美術館、奈良の「緑ヶ丘美術館」所蔵となったのです。
まあ、びっくりやら、うれしいやら、こんなこともあるんですね。
そしてなんと、初日に売約済なっていた作品を、どうしても欲しいという方まで。
納期は問わないとおっしゃり、追加制作することとなりました。
最近取り組んでいる「織ori」シリーズの予想を上回る反応に、
気が引き締まる思いで終了した「伝統工芸陶芸部会展」でした。
2024.5.15
毎春恒例の「プリマヴェーラ コンサート」にご招待いただき、
今年も”横浜みなとみらい小ホール”で室内楽に酔いしれた。
ピアノ、バイオリン、チェロによる三重奏にはピッタリな会場で、
440席の小ホールは可動式残響調整板を備えたシューボックス型。
ヨーロッパの貴族たちのサロンを思わせる、親密な空間である。
毎回、三つの組曲で構成されたプログラムにより演奏。
今年は1曲目「ハイドン・ピアノ三重奏曲 第1番 ホ長調 Hob.XV:28」
2曲目「シャミナード・ピアノ三重奏曲 第1番 ト短調 作品11」
3曲目「スメタナ・ピアノ三重奏曲 ト短調 作品15」であった。
ハイドン、スメタナは割と演奏される機会が多いが、
シャミナードは多分、初めてだと思う。
シャミナードは19世紀、パリに花咲いた女流作曲家とされているが、
当時はパリ音楽院作曲課に女性は入学を許されてなく、
近隣住人だった作曲家ビゼーを頼りに、
個人的にいろいろな先生の教えを仰ぎ学び、
苦しい時代を過ごしたのちの成功だったそうである。
日本の陶芸界での女流陶芸家・坪井明日香さんを彷彿させる話だ。
さて、それはさておき、今回のコンサートで一番感銘を受けたのは、
ピアノのソロが28小節間も続く、ハイドン第2楽章アレグレット。
左手が刻む低音部のスローなリズムと、右手高音部のスピーディーな流れ。
いや~、痺れました、岡部由美子さん、めっちゃカッコ良かったです。
ブラボ~ッ!最高ッ!
2024.5.1
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