窯だより バックナンバー 2024年 1~4月
この前の日本橋三越個展の際、とても嬉しい出会いがあった。
それは、孤高の陶芸家 岡部嶺男(1919-1990) のお嬢さまである。
岡部嶺男というと「永仁の壺事件」が世に知られるが、
僕たち青磁作品を造る者には、中国南宋官窯の二重貫入青磁を
世界で初めて再現させた、伝説の陶工と崇められている存在だ。
一度その魅力に取り憑かれると、自分の方向を見失う危険さえある、
そんな諸刃の剣のような嶺男青磁は、今も僕の心の底に眠っている。
そして、小説家の芝木好子が1972年に女流文学賞を受賞した
「青磁砧」のモデルは岡部嶺男であり、嶺男青磁なのだ。
1967年に完成させた二重貫入青磁は、無論のことマキ窯でだった。
個展終了の前日、たまたま会場に来られたお嬢さんは
そこで流していた窯焚き風景ビデオと二重貫入青磁作品に目を留め、
父・嶺男の思い出を とつとつと語りだした。
それは今まで一度も文字にされていない岡部嶺男の姿だった。
長くお話しくださり、ふと歳のことになった。
すると、お嬢さんは僕と同い年、70歳、
1990年に世を去った岡部嶺男の享年も70歳だったのである。
2024.4.16
すでに先週で終了した展覧会の話で申し訳ないが、
ちょっと面白い展示が根津美術館で行われた。
その名も「謎解き 奥高麗茶碗」。
メイン企画展「魅惑の 朝鮮陶磁」に合わせての特別企画だ。
「奥高麗茶碗おくごうらいちゃわん」とは、高麗と名の付くものの、
じつは佐賀県唐津周辺で17世紀、茶の湯のために焼かれた茶碗である。
だが、その侘びた風情をまとった一群の出自は明らかにされていない。
どこの窯で、いつ頃焼かれたのか、なぜ唐津産でいながら奥高麗と称するのか。
この展覧会では、伝世する奥高麗茶碗34点を一堂に並べ、
その謎の解明に迫る、画期的なものであった。
会期は終了してしまったが、研究論考を一冊にまとめ発行されている。
根津美術館にて購入できるので、興味ある方は、ぜひ一読を。
2024.4.2
個展を終えて久しぶりに戻った丹沢の陶房は、僅かの間にすっかり春めいて
見上げれば満開のマメ桜、足元には春蘭が微笑むように咲いています。
この度は、日本橋三越での「中島克童 陶展-IMAGE of 織 some 染-」を
ご高覧いただき心より厚く御礼申し上げます。
やっと新型コロナの影響が薄れ、海外からのお客様も交えて賑わう
明るく楽しい会場となり、お陰様で盛会のうち終了いたしました。
どうぞ これからも宜しくお願い申しあげます。
2024.3.19
日本橋三越「ショップニュース」にて『中島克童 陶展』の予告配信中。
重ねてのお知らせとなりますが、いよいよ来週の水曜日から。
3月6日(水)~12日(火)、日本橋三越本店 美術工芸サロンにて開催。
会期中は会場内で登り窯の窯焚き風景をビデオ紹介。
全日程在廊します、ご来場をお待ちしております。
2024.3.2
前回お伝えした個展案内DMが刷り上がりました。
予定のページにUPしたのでご覧ください。
まずはホッと一息なのですが、出展作品の方は
おととい最後の銀彩窯を焚くという、毎度のギリ・スケジュールです。
ともあれ、窯を冷ます間、本当に久しぶりの裏山散歩をしました。
4月並みの温かな霧雨の中を歩けば、そちこちに春の息吹が。
もうすぐ春ですねぇ~♪
2024.2.20
あぁ・・・、ついに2月に入ってしまった。
3月6日からの日本橋三越個展まで、一ヶ月ちょっと。
年末の窯だよりに書いたとおり、大わらわの日々が続いているのでございます。
まだ、作品焼成が残っているというのに、もう案内状作成にも奮闘せねばなりません。
PDF入稿が一般的な現在、うちではWinXPでフォトショ5.0にイラレ10という
今では超クラシックバージョンでの入稿システム。
三越美術の要求に、ついてゆくのに必死です。
このあと、校正でOKもらえたら印刷となりますが、
いくらプリントスーパーでの印刷でも、
皆さまへDMを発送するのは、会期まで10日かそこらのギリギリ。
テレビCM 「楽々明細」 の横澤夏子さん状態での、
DM封筒入れ作業が始まるのでございます。 あ~ぁ・・・。
2024.2.1
1月10日 午前8:30、克童窯にパトカー3台、消防車両1台で山岳救助隊が集結。
物々しい雰囲気のなか皆テキパキと装備を身に着け、山に入って行く。
アレ?、遭難者を運ぶ折りたたみ担架を背負っているのは、若い女性隊員だ!
と、ここで種明かしを。
実はこれ「110番の日」のイベントで、この女性隊員は
「かほの登山日記」で有名な”登山系YouTuberかほ”さん。
この日は朝から山岳救助訓練体験をして、そのあと秦野警察署へ移動、
一日警察署長を務めるというハードスケジュールだったのです。
ちなみに、かほさんは昨年4月の「秦野丹沢まつり」に
山開き式で「丹沢の門」を開ける役の特別ゲストでもありました。
2024.1.16
明けましておめでとうございます
令和6年 元旦
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