窯だより バックナンバー 2013年 9〜12月


さぁ、いよいよ2013年も 幕を閉じます。

皆さま方には この一年、本当に お世話いただき ありがとうございました。

来年は ソコタイちゃんみたいに 呑気に構えて過ごしたいものです。

あ、ソコタイは この秋から我が家の一員に加わった 木彫りの等身大シャム猫、タイのチェンマイ生まれです。

横浜美術館へ「横山大観 展」を観に行ったとき、中華街のアジア雑貨店で店番していたところを頂いたのです。

名前の”ソコタイ”は愛陶家や茶人は、あぁ と分かるでしょうが、

15世紀・タイの古陶で、底に魚文を描いた皿のことをいう あれです。

底に鯛の絵で”ソコタイ”と思っていたと笑う 素敵な画家が昔いましたが、

そう、ソコタイはスコタイの訛り、タイ中部のスコータイ遺跡が そのやきものの産地だったからなのです。

30年程まえ、その古窯址を訪ねたとき泊まったホテルのレストランは、

ノラ猫の たまり場になってましたが なにせタイ、ノラといっても全部が全部 シャム猫だったのです!

いやー あれには驚きました、だって日本じゃ高級舶来ネコですもんねぇ・・。

と、まぁ 今年も最後の最後に 話しが逸れましたが、

ではでは みなさま、よい お年を お迎えください。

2013.12.31.

 PS: ”予定のページ”に1月に中京で開催される「庄六賞茶碗展」をUPしました


今年も 残すところ2週間あまり、この1年を振り返ると 楽しかったこと 辛かったこと

まぁ いろいろありましたが、ここに来て ひとつ残念なお知らせをしなければなりません。

僕の作品をご覧頂く場として 15年の間 個展を開催してくださった『茅ヶ崎・俊』が 年末をもって閉店いたします。

平成5年より20年、美術工芸全般を扱う 湘南のオシャレなギャラリーとして知られ、

作家の我がままを オーナーとスタッフが いつも優しくサポートしてくださりました。

諸般の事情による 苦渋の選択とのことですが、とにかく 残念なことです。

個展中の 開高健ゆかりの「ジンギスカン」における恒例の宴も もうお仕舞いか・・、と思うと寂しいかぎりです。

ところで、作品では 僕の土鍋類は「俊」からお客様に渡ったものが 数多くあります。

使用上お困りのことがありましたら、今後は「克童窯」に直接お問い合せください。

当ホームページの”陶房”のページをスクロールしていただくと、下部に住所・電話・FAXがでております。

『俊』では 今、和紙の展覧会を開催中、別れを惜しみつつ 茅ヶ崎へお出掛けしてみてはいかがでしょう。

2013.12.16.


日本橋三越本店での 「中島克童 陶展」 が 先週26日に御好評裡に終了することができました。

会期中は天候にも恵まれ、予想を上まわる たくさんの皆様に ご来場いただき、

盛会で ありましたこと、心より御礼申し上げます。

遠方から足を運ばれた方、新幹線で 駆けつけて下さった方、

徹夜あけを押して来られた 若い作陶家 などなど。

そして 10年ぶり、20年ぶりに お会いする人もいた中、

なんと、42年ぶり と、いう 高校時代の同級生が 5人も来廊。

ティーン・エージャーの ピチピチの面影を、還暦の風貌の中に探しつつ

「 変らないねぇー?? 」 なんて、旧交を あたためる一幕まで。

本当に 感謝、感謝一杯の 個展となりました。

次回の 三越での個展は 3年後の予定、

それまで 一歩でも 半歩でも 良作をと 精進する所存です。

これからも どうぞ よろしく お願いいたします。

2013.12.1.

三越がフェイスブックで紹介してます

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=554555481297057


いよいよ 次の水曜日、11月20日より 「中島克童 陶展」 が始ります。

日本橋三越本店 本館6階 美術工芸サロンです。 会期は 26日の火曜日までの1週間。

”勤労感謝の日”の連休を含みますので、お江戸日本橋を そぞろ歩き 遊びにいらしてください。

会期中は 全日程 在廊いたしますので、ぜひ ぜひとも。

”予定のページ” でも お知らせしてますが、”ごあいさつ” を今一度 ここに。

 

ごあいさつ

この度、日本橋三越本店にて「中島克童 陶展」を開催することとなりました。

三越に於いては これまでも様々な展覧に参加させて頂きましたが、

個展として自作を一堂にご覧いただけるのは今回が始めてのことです。

おなじみの”克童の灰釉”と、近年とり組んでいる二重貫入青磁による

釉色嬌艶なる世界をご高覧いただけますよう御案内申し上げます。

中島克童

 

なにとぞ、なにとぞ よろしく、お願い申し上げるので ごじゃります、です、はい。

2013.11.16.


先月後半の土日、東洋陶磁学会の今年度の大会が 茨城県陶芸美術館であり、久しぶりに笠間へ行った。

笠間には14年ぶり、のんびり散策もしたいところだったが 大会スケジュールは いつもながらのビッシリと分刻み、

そのうえ 交通の便も はなはだローカルで 個人行動は とても無理。

晩の懇親会&宿泊先である 水戸のホテル送迎バスで、全員が学会会場とホテルをピストン移動、

帰りの 上野行き ”フレッシュひたち” も これまた ほぼ全員が乗り込む、といった缶詰大会であった。

てなわけで、笠間の陶郷風情を味わうことは叶いませんでしたが・・、

そのかわり 水戸の夜は もう最高に盛り上がったのでございます!!!

ぼくの場合、カラオケ店での午前0時すぎの記憶が まったく欠落してるのであります。 ヤベッ・・・!!

2013.11.4.

PS: ところで、三越での個展案内を ”予定のページ”にUPいたしました、ご覧下さい。


きょうは 「10年に一度」の強烈台風26号が 各地に爪痕を残しつつ通過中である。

しかし これで、桜を惑わすほどの怪しい妖気?いや、陽気も 憑き物を落とし、秋らしさを取り戻すのでなかろうか。

と なると、目に付き出すのが 各地の紅葉に誘う 旅のパンフレットだ。

新聞の折り込み広告に 京都・竜安寺の写真を見て、ふと ある文章を思い出した。

夏の終りに行った 静岡『クレマチスの丘』の「井上靖 文学館」でのこと、

生前 愛用した万年筆と 自筆の原稿が何点か陳列されたガラスケースに、竜安寺の石庭を綴った一文があった。

『美しきものとの出会い』という著作のなかの、「東寺の講堂と竜安寺の石庭」の一部分だそうで、

はっ と するような、なにか 絡まった糸が解けるみたいな、そんな気持ちがしたのであった。

一部といっても ちょっと長いので、最後のところだけ ここに。

『 ここ竜安寺の庭を美しいとは、そも 誰が言い始めたのであろう。

ひとは いつも ここに来て、ただ自己の苦悩の余りも小さきを思わされ、

慰められ、暖められ、そして美しいと錯覚して帰るだけだ。』

2013.10.16.


10月に入り、三越本店での個展も いよいよ来月のことと。

で、きのう案内状製作の打合せに出掛けたのだが、そのついで珈琲豆を仕入れに 武蔵小山に寄り道した。

いつも行く 焙煎専門店 ”コーヒー ロースト ブラン” である。

3、4種の豆を見繕って生豆で分けてもらっているが、じつは今回、ほかの目的があった。

エスプレッソ コーヒー抽出器だ、夏に入る前 この店で ウォーター ドリップ サーバーを

見つけて求めた折、その棚の隣にあった 肉厚な八角アルミ製の器具が気になった。

手に取ると ずしりと重く、上下に分れるボディーは かなり複雑な構造をしていた。 もちろん イタリア製である。 

一目惚れとは このこと、秋になったら ぜったい エスプレッソだ、と そのとき心に決めた。

そして、そして 今日、踊る心を抑えつつ いつもより ちょっと深めに豆を焼き、いつもより ちょっと細かく豆を挽いた。

わくわく、どきどき の気持ちを圧えつつ コンロに着火。  あぁ・・、 あとは もう ご想像におまかせします。

あぁ・・、  至福の一杯を説明する言葉は、僕には とても 見つかりません。

2013.10.2.


ヤマホトトギスが咲いた、 いよいよ 山の秋色が加速する。

そして 夏が遠ざかる。

夏と秋のせめぎ会う この狭間を彩る、 あなたは ちょっと変わり者。

それにしても まぁ 愛嬌のある出で立ちであることよ、

君は リオのカーニバル・ダンサーみたい、

きっと ひょうきん者で お調子者に ちがいない。 

マイ フェーバリット ワイルドフラワー、ヤマホトトギス。

でも、 ほんとうは、  孤独が好きなんだろう?

ほかのホトトギスみたいに 群れもせず 並びもせず、

いつも 初秋の風に  揺れている。

2013.9.17.


「クレマチスの丘」 という美術館があることを知ったのは 昨年の春だった。

箱根に魚釣りに行ったものの 2日目の芦ノ湖は生憎の悪天候、

早めの昼食に寄った伊レストランに付随したアートショップで暇をつぶしていると、そのポスターが貼られていた。

店の人にパンフレットをもらうと 三島にあるという、三島なら箱根から西に下れば 目と鼻の先。

よしっ と思ったが、よくよく見ると とても半日で見られるところでは ないらしい。

広い丘に 絵画、彫刻、写真、文学の四つの館と、三つのレストランが点在して、

一日かけて ゆっくりと楽しむ ミュージアム・パークだ。

そうかぁ、今日はムリかぁ、・・・と そのまま忘れていた。  そして 1年半・・

先週、8月も終わりに近づき、このへんで夏休みをと南伊豆に出かけたところ、日程後半の予報が雨となった。

思い出したのが 「クレマチスの丘」、 急遽 伊豆半島を北上した。

種類の多い クレマチスは初夏から夏の花、

もう終わったのもあったが まだまだ大半が咲き誇っている。

フランスの画家 ”ベルナール・ビュフェ美術館”、イタリアの”ジュリアーノ・ヴァンジ彫刻庭園美術館”、

写真の”IZU PHOTO MUSEUM”、そして ”井上 靖 文学館”、 と

降ったり止んだりする雨の中、瑞々しく たっぷり水分を含む 風を思いきり吸込み

ゆっくり ゆっくり クレマチスの丘を 巡った。

2013.9.1.



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 2013年 5〜8 月 


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