窯だより バックナンバー 2005年 9〜12月


 

今年も 残すところ 僅かと なりました、

2005年 最後の 窯だより です。

4月に 作った この ホームページ、 始めは ヒヤヒヤ でしたが、

みなさま の ”見てるよ” の ひとこと で、なんとか 続けて これました。

来年も よろしく おねがい いたします。

ところで 今年 ラストの 仕事は、例年通り 土鍋つくり です。

注文されてる 方々からは、「ナニ、まだ 焼いてないの?」 と 叱られそうですが、

そうです、 ゴメンナサイ。 1月中には きっと。

うち の ナベは 人気なので ご注文は お早めに、なんて ちゃっかり 宣伝したとこで、

それでは みなさま 良い お年を お迎えください。

2005.12.25

ps 元日に 年賀状を up します。(酔いつぶれて なければ)


日本画家の 中尾 誠 さんの ホームパーティーに 家族で 招かれた。

海が すぐそばの、とても 気持ちのよい お宅です。

奥さまは、ミリオンセラー 「捨てる!技術」 の 著者、 作家 辰巳 渚 さん。

美しく スリムな 姿からは、とても 想像できぬ パワーで、

片手に 1才の お子さんを 抱きながら、すっごく 美味しい 料理を バンバン 作る。

宴も たけなわ と なると、 皆 古酒に 浮かれ、

日本画家 二人による 蛇皮線 ライブ コンサート に なったり、

ご一緒した 中に、サーフィンの神様 と 慕われる ドジ 井坂 さんも いたものだから、

室内 サーフィン スクール と なったり、 もう、”ここは 沖縄っ!” って 感じ で 大騒ぎ。

笑いすぎて、  今日 は 腹筋が イタイ。

 そう そう、 中尾さん家族とは 先月も うちで やって、その時 の ことが、

今週号 (8日発売)の 「週刊 新潮」 で 辰巳 渚 さん の ページに、ちょこっと 載ってます。

2005.12.11


< 陶器が語る来生の理想郷 中国古代の暮らしと夢 建築・人・動物 

町田市立博物館 (TEL 042-726-1531・1月15日まで) に、行ってきました。 

二千年前 陶器で造られ、死者と共に 埋葬された 作品群 です。

古代中国 の 人々の 死生観 は、生前 と 死後 は 同様の ものと 考えられて いたため、

生活用具 から 家畜 に いたるまで、すべて の ものと 黄泉 へ 旅立ったのでした。

人、 家、 倉、 農作業小屋、 トイレ、 かまど、 井戸、 家畜小屋、 牛、 豚、 犬、 鳥、 亀、 魚、・ ・ ・

二千年の 昔の 暮らしの 様子が、 絵 でも 文献 でも なく 立体 で、

ジオラマ の ように 三次元 世界 で、 私たちに せまります。

スゴイ !!

構想 3年、この展覧会を 企画・構成 した 学芸員 の 矢島さん からは、

前々から 熱き 想い を お聞き していましたが、 これ程まで とは。

やきもの好き だけ で なく、あらゆる 方々に 見て いただきたい 展覧会 です。

( このあと 各地 5つの美術館を 巡回します。)

2005.12.1


先日、ある 大学祭に 行く 機会が あり、いろいろな 催し の中に 映画の 上映もあった。

黒木和雄 監督 「 父と 暮せば 」 (井上ひさし 原作) で、

ちょうど 昨年夏、岩波ホール へ 見に行けず 残念な思いを していたものだ。

とても いい作品 だった。  舞台は 原爆投下 から 3年後の 広島。

その 被爆時の 凄まじさを 伝えるなかに、 「原爆瓦」 が あった。

屋根瓦の 表面が 熱で 瞬間に融け 煮えるように泡だち、冷めたあと 一面 棘状 と なっている。

瓦 も やきもの、僕は 職業柄 その 熱 が どう云った ものか 想像できたし、それを 人体 が 浴びたら、も。

陶芸窯 の 熱源も、薪から 重油 そして 灯油や ガス、 電気が 主流と なり、

「 もう あとは 原子力 か?」 など と、つまらぬ 冗談を 言っている 陶芸家も 昨今 いるのだ。

彼ら が この 映画を 見たら どう 思うだろう。

ところで 外の にぎやかさ に 比べ、上映会場の 客は たった 9人。 ちょっと さみしい 気がした。

2005.11.20


           

立冬 も 過ぎて、このところ カメムシ が やたらと 多い。

仕事場に 木の丸椅子 が あるのだが、その縁に 一匹いるのに 気が付いた。

うっかり 腰を掛けよう ものなら、あの ニオイが ズボンに ついて たいへんな 目に。

と、見ていると この カメムシ、どうも 椅子の 円周を 歩きつづけて いる。

径 27cm ぐるり 約 85cm の 道のり を、1.5cm 身体で 1周 だいたい 45秒。

何周も 何周も。 ・・・ どういう つもり なんだ。 どこか に 向かっている つもり なのか。

ひょっと して、今 歩いている 所が 45秒前に 通った所と 気付いて ないんじゃ ないのか。

じいー っと 見ている うち、 オレも そんな もん かも な、 と 思った。

そう云えば、森 敦 の 「月山」 にも ドンブリ鉢に 落ちた カメムシ の 行動に、

自分 を かさねる ような 描写 が あった 記憶が ある。

カメムシ は 奥 が 深そうだ ???

2005.11.11


秋の空 に さそわれて、お昼は 山で お弁当 に した。

中腹に ある 小さな ピークで、ススキの 美しい せまい頂上には、

ハング グライダーが 飛び立つ 板張りの 踏切台が ある。

平日は ほかに誰も いなくて、絶好の 展望弁当台 だ。

青空に 浮かぶ 雲と 遠くに かすむ 山並みを  眺めながらの 弁当は、実に 美味しかった。

 どこへ 行くのか はるか 頭上を  銀色の 旅客機が、音も無く ゆっくりと 飛んでいた。 

ぼんやり 見送って いると、 しばらく して ゴー と いう 音 が あわてたように 追いかけて行った。

すべて が、のどか だ。

美 が、眼前に 横たわって いる。

だが、この 踏切台 の 先は、奈落 なのだ。

2005.11.2


週末、 横浜へ 杉浦康益 ”自然の息吹と かたち”展 (神奈川県民ホール 11/5まで)を 見に、

「岩の群」 から 現在の 「陶の花」まで、 静寂 と 圧倒 とを 堪能。 そして 日本橋へ 、

杉浦康益 ”彩文俑 と 形象香炉”展 (三越本店 24日終了)を、

風に 動く 砂の 乾いた音を 聴くような 作品たち。   両方 良かった。

ちょうど 杉浦さん が、会場に 居られ ゆっくり お話し することが出来た。

器 でない うつわ、 陶の肌の テクスチャー  感触、・・・・・。

帰り は 東京駅に歩いて ”加守田章二展”(東京ステーションギャラリー 23日終了)、

6月に 京都でも 見たけれど、このあとは 岩手  岐阜 と 遠くなるので、もう一度。

やきもの屋が、やきもの三昧 も ないが、

昼食を、中華街の 四川料理店 ” 景 徳 鎮 ” で、 とは ワルノリ だったか?

2005.10.24


松屋銀座 での 個展 「この ひとひらに」 が 終了しました。

たくさんの 方々に、お忙しい中 来廊 いただき、心より 感謝 いたします。

花の、その 花びら の持つ 妖しく 美しい 姿態を 器に。

と、始まった 今回の 企図 も 果たして どこまで お伝え 出来たか、 力 の無さを 感じます。

今は 陶房に 戻り、まずは ひと休み。

空っぽ の 僕が ぼんやり しています。

2005.10.13

          


個展の梱包作業を していて なんとなく ガラス戸を ふりかえると、

    傾いた陽に 樹の枝と 蟷螂の 影が あった。

紙を張った ガラスの 向こう いるのだが、

しばらく 見ていても、まったく 動かない。

まるで、影だけが そこに 貼りついているようだ。

蟷螂は 好き じゃないが、それは 美しかった。

自分 以外の 全てが 静止してる みたいな、 落ちつかない気分で 作業に戻った。

ずいぶん たって、ふりかえると、

蟷螂は 向きを 変えていて、 なぜか ホッ と した。

2005.9.30


「秦野たばこ祭」 が 24,25日に 行われます。

”炎が舞い 光が奏でる” の テーマで 数々の イベントがある 大きな お祭です。

この地の たばこ耕作は、だいぶ前に 幕を閉じましたが、

300年余の 長い歴史を伝えるため、たばこ祭は 継続されているのです。

僕が ここに窯を 築いた頃は、大きな葉を 風に さわがす たばこ畑が 村の あちこちにありました。

そして 家々に タバコの 乾燥倉が あって、 独特な 景色を つくって いました。

いまでは ちょっと 懐かしい 思い出です。

ところで、僕は タバコを やめて 10年を 過ぎました。

そのころ 欲しいものが あって、それは 1年 禁煙すれば そのタバコ代で 手に 出来たからでした。

そして そのまま 吸わなく なったわけで、こう云う 禁煙法だって あるんです。

でも 祭りの チラシが 回覧で 配られると、

ふっと いっぷく つけたい気持ちが 浮かび上がります。

シュボッ ・・・・  フーッ 。  ってね。

2005.9.23.


夏の終わりを 南伊豆に遊んだ。

個展前に 現実逃避か やけくそ か。 マ、気分転換 とでも。

めあては もちろん 青い海と空、まぶしい 白い波。

ん もう ひとつ。 萎えた頭に ちょっとだけ 刺戟を・・・、

海沿いの 渋滞を避け、山を越えると 湯ヶ島を 通る。

よぎるのは 梶井基次郎。

いつの季節に 行っても、「冬の蠅」 を 読んだ時の あの気持ちに タイムスリップする この道。

昼は 思いきり 陽を浴び 波と遊んでも、

夜の 砂浜を 歩くと 「K の 昇天 ー或はK の溺死 」 が 蘇る。

梶井は 若くして 病死 したが、 あー云う 作品を 残せた 人生は うらやましい。

2005.9.4

 


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