窯だより バックナンバー 2006年 9〜12月


                                                              ワッ! もう おおみそか!?

                            ゲッ!! 明日は 来年!?

                            ギョエ〜!!!  すぐ ・ ・  個展? !!!

                            ヤッベ 〜 〜 〜 〜

                            と、 今年 も  終了 。

                            まっ 、 こんな もんか 毎年 。  ここで 一句 。

お供えを  前に ろくろの  師走かな

2006.12.31


ヒッ  ヒッ 、 と 云う 声に  ろくろ の 手を 休め 窓 を 見る。

ヒタキ が 、 今年も やって来た。

僕が 見ていると  ヒタキ も 僕を 見てる。

うら山の クヌギの葉が 風に カサカサ 飛ぶ ころに なると、

こいつは 遥か 北の国から、 こうして ここに 現われる。

1羽ずつ なわばり を もって 暮す 鳥 だそうだが、

あいさつ の つもりか 軒下にある 干し棚 の丸太に とまって、

ヒッ  ヒッ  、と 鳴く。

春 まで 、  よろしく 。

2006.12.22


ある 自動車メーカーの デザイン本部で、「やきものと私・私のやきもの」 と 云う 講演をした。

最寄駅から 車で 案内された所は、人里離れた 小高い 山の上。

下からは まるで 見えぬ その場所は、まるで SF の 秘密基地だった。

レセプションで チェックを受け、 トンネルを ぬけると 山の中に 突然  巨大な ビルが立ち並ぶ。

その中の ひとつの ビルの入口で 再チェック、 入ると 中は 白一色。

複雑に 構成された 各フロアは、とにかく ハイセンス だ。

廊下が交差する場所は 小部屋になっていて、4面にある ドアは すべて 認証カードで 開閉する。

エレベーターも その カードで 動き、2面ある 扉で 行き先が 変わる。

どこを  どう来て、 ここは 何階 なのだろう・・・。

通された 大きな ホールは、床から天井まで 壁一面の スクリーンが 2面。

僕の ポンコツPC で 作った スライド データは、1枚の画像を  背面投写プロジェクター 3台を使って 映し出す。 まるで 別物だ。

なんか 呆気に とられたまま、 300人の 新型車デザインに 携わる 皆さんに 講演した。

帰り に 駅前の 居酒屋で ホッ と 一杯 飲った時、 ふと ・ ・ 思った。

・ ・ ん 、 きっと 、あそこ は 龍宮城 だった に 違いない。

そうだ、 そう云えば。 レセプション や インフォメーション、 オペレーター の 女性たちは とんでもない 美人ぞろい だったぞ。

2006.12.8


 

泉屋博古館 の 展覧会で もうひとつ。

先日 友人が行って 「黒釉金彩蝶牡丹文碗 」 に 心を惹かれたそうだ。

”金花の定碗”と 呼ばれる、12世紀 北宋末に 定窯で焼かれた器だ。

小さく 引き締まった高台から 鋭く直線的に開く 漆黒の碗、

作られた当時は 華やかであったろう 金彩の模様は 剥落し、黒釉の上に うっすらと 痕跡を残すのみだ。

しかし その風情は、 闇夜に目を凝らすと 牡丹の花と そこに舞う蝶 が見えた、 と云うような 夢幻の世界、

900年もの間 自らの内に 闇の花園 を閉じ込めた、孤独。

その 黒い碗 に見入る姿が 目に浮かび、 じつに その人らしい と思った。

ところで、この碗も 個人蔵で 99年の”宋磁展”以来なのだ。

同様の碗では 熱海・MOA美術館に「黒釉金彩蓮束文碗」(瑞花文)が あるのだが、

この 「蝶牡丹文」 は いつ また 会えるか わからない。

その日 までは 瞼の中で 咲き 舞う ことと なる。

2006.11.28


六本木一丁目駅 近くの 泉屋博古館 で 開催中の、 「中国陶磁 美を鑑るこころ」展 が 必見です。

私たちが  いつも 美術館や博物館で 見ている陶磁器は、その ほとんどが ”蒐集” という 行為を経て、のち 収まったもの。

その 「コレクターズ・アイ」 に 着目したのが、この 展覧。 ”中国陶磁 鑑賞” の 歴史、意義 を 俯瞰できる すばらしい内容です。

そして 、なにより  うれしいのが 滅多に会えない 個人所蔵のもの。

ありました、 ありました。  南宋官窯の 「 青磁管耳瓶 」 「 米色青磁瓶 」。

あ〜、99年 東武美術館「宋磁展」 以来 。  もう、 展示ガラス に 貼り付くしかありません。

ほかでは、 志賀直哉の 「万暦赤絵」に ある 梅原龍三郎 旧蔵の花瓶が、95年 大阪東洋陶磁美術館 以来。

まだ まだ ・ ・ ・、 全 67点の うち 39 点が 個人蔵 !!

企画された 繭山龍泉堂 の 川島さんとは、残暑に うだるころ 所蔵品 借り受け先の お宅で バッタリ お会いしましたが、

全国の コレクター宅に、 ご自身で 足を運ばれた ご苦労は 大変なものです。

九州へは 飛行機で 行っても 大きな作品だと 帰りは 新幹線、 ひざに乗せ 東京まで じっと抱いていたそうです。

お尻の痛さを がまんする その姿を 想像すると 笑ってしまうので、 会場では 思い出さないように。

ところで、箱根の ポーラ美術館 で 開催中の 「画家の愛した やきもの」展 も、川島さんの 企画。 パワフルだなぁ!!

2006.11.14


神宮外苑 にて 開催中の 100% DESIGN TOKYO に 行った。

ロンドン、 ミラノ、 東京 で 行われる、デザインの トレードショー だ。

関係者限定日に 招待して いただいたのだが、

うつわ系 やきもの屋は、 国際的には デザイナー の カテゴリーらしい。

たまには、 最先端 の 刺戟も 必要かなぁ、 てな 具合で 山を 下りた。

世界中の メーカー、 デザイナー の ブースが 200 あまり あって、

それは とても とても 面白かったし、 すっごく 勉強にも なった。 けど、 つかれました〜。

会場に 着くなり、首に 札 を 下げられるわ、 いろいろ 資料を 持たされるわ、 見て廻るだけで 3時間。

かけられる言葉は 、 英語、えいご、English 。

おのぼりさん 陶芸デザイナー の 頭は、もう グルグル。 あ?ア?a?、 くらっしゅ、ハング アップ、Freeze !!

夜 、 くたくた で 帰り着いた 丹沢 の 夜空 が 、 なんと 美しかった ことよ 。

2006.11.1


             

このところ 昨年8月に お話しした 、 トーマス窯 君が 大活躍 である。

来年 早々の 個展に 向け、 釉 の 調整 も かなり シビアだ。

ところが トーマス君 、 とにかく 仕事 が 速い。

今日 焚くでしょ、 3〜4時間で。 そう するとね 明日の朝 窯出し して、

ん〜 そうなのか って、 釉を 合せ直し 施釉。

で、 窯に積んで。 また 次の日 焚けちゃう。 そして 出して・・・、ん〜。

ま、 実際の 本窯 との ズレ は あるの だけれど。  しっかし たよりに なる。

あ そう そう、 「きかんしゃトーマス」 の 親戚 なんだっけ。 ? !

2006.10.18.


                

ここ、丹沢登山口・大倉 は 落花生の畑が 多い。

今日 土曜日、あちら こちら 家族連れの 豆掘り で にぎやかだ。

掘りたてを 殻ごと 茹でて、 枝豆のように 賞味するのが 一番。   これが うまいのだ。

実り の 秋 。    ・ ・ ・ しかし

きのう 市役所 の  広報車 が 、拡声器 で なにやら ??

「 今朝〜 、 熊 が 目撃 されました〜 ・ ・ ・ 」

ナニッ ?! そこは 、 我が家 より 下 の方 ではないか !!

・ ・ ここまで  読んで 、 「 今度は 、熊 鍋 か? 」 などと 思った アナタ 、

不謹慎 ですぞ 、  鹿 猪 なら まだしも 。    熊 は オソロシイ !

・ ・ ・

脂身 に  香り が あって 、  美味しい らしいが 。

2006.9.30.


     

この壷、 クメール 11〜12世紀の バラスター壷。 縁あって 僕が 持つことになった。

クメール王国 と いえば、アンコール・ワット。 

つまり 現在の カンボジア と 思われがちだが、 9〜13世紀に 栄えた クメール王国は、

王都アンコールを 中心に、今の タイ南東部、ラオス南部、ベトナム南西部 にも 拡がる 大国だった。

最近の研究で、バラスター の 製作地は タイ の バンクルアット という 村と されている。

そこで 焼かれた この壷 は、舟で 川を 下り アンコールに 運ばれたわけだ。

美しい形態、高43cm、径26cm、今まで この大きさ以上は 3点の 知見しかない。

ひょっとすると、 石造り の クメール神殿 を 飾っていたかも しれない。

そして 千年 もの 悠遠なる 漂泊の末、 我が あばら家に 辿りついた と 思うと、

・ ・ ・ 胸 が 締めつけられる程、  いとおしい。

2006.9.9


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