窯だより バックナンバー 2007年 9〜12月


平成壱九年も もはや 今日一日で ござる

やはり 望みを 託すは 年末ジャンボしか あるまいのう

しっかし 富くじとは 当らぬものよのう

今年は いかがで ござろうかのう

ま よいわ  明日は 新年で ござる

茲に 本年 賜りました ご厚情に 深く感謝いたしますとともに

明年も 変らぬ ご厚諠のほど よろしく お願い申し上げます

克童 拝

弐千七 大晦日 朝


新宿南口 サザンテラスは、イルミネーションに彩られ きれいだった。

でも ひとりで 家路をいそぐ僕は、Xmasモードに なるには もう ちょっと歳なのか、

青緑光の群れを 見上げたら、なぜか 伊賀修業時代の 夏の夜を思い出した。

25年まえ、窯場から車で帰る 峠道は 街灯もなく ヘッドライトの前を キツネが走ることも たびたびあった。

夏、その道の路肩に くるまを停め ライトを消す、そして ウィンカーを点滅させ 車外に出るのだ。

すると、ウィンカーに引きよせられ どこからともなく スー っと 光が集まりだす、 そう 蛍。

5分もすると 僕の1BOXバンは 全面が青緑光に 点滅する 四角い塊となり、

そばに立つ ぼくの 腕も 肩も 足も 蛍の光。

夢の中のような あの 夜道は 今も そうなのだろうか。

2007.12.16.


僕の陶房に 来たことのある人は、上の写真を見て おやっ と思うかもしれない。

中央のスダレの前、そこには いつも 静かに立つ壺が居た。

全身に 金繕いをまとう 高50cmの 粉引の壺、

胴の中ほどに 窯変の ゴホン で 「花」 の文字。

6年前、春の窯出しで 皆をおどろかせた 不思議な壺は スダレの前が居場所になったが、

その秋の 昼下がり、スダレを登る トカゲに飛び付いた 仔猫もろとも 床に落ち、割れた。

しかし 二度 出るものか 「花」 の窯変、 直してみた方が の声に、

ジグソーパズル並の 欠けらつなぎ合わせること 一週間、 その場所に 戻ったのだった。

そして、 金繕いを された 「花のつぼ」 は、 なんと 前にも増して 美しかった。

 

・ ・ ・ 先週の日よう、  あの子は 東京に 嫁ぎました。

2007.12.5.


      

11月17.18日の土日、東洋陶磁学会の今年度大会が 東京藝術大学で行われ、全国から研究者が集まった。

テーマは「東洋の鉄絵・鉄砂・銹絵」、つまり 鉄分を含む 土石顔料で文様を描き 焼成された陶磁器だ。

褐色〜黒の絵文様を 思っていただければよく、青色のは コバルトで描かれていて 染付、青花と言い別である。

今回は その鉄絵の起源・展開を、初日に 基調講演と 東京国立博物館での特集陳列見学会、

2日目は 6名の研究者から 中国、タイ、韓国、日本の鉄絵について 論考が発表され、討論された。

起源は 中国の三国 呉の時代(3c後半)と なりそうだが、産地の特定は現段階ではむずかしく、

また どこから鉄絵といえる技法か どこから鉄絵といえる文様か など、参加者のなかで 微妙な認識のずれなどもあり、

真冬なみの寒さの会場内に 熱気あふれる意見 見解が飛びかう 充実した2日間だった。

そして なんと言っても 楽しかったのが、夜の懇親会。

ほとんどが 博物館・美術館の人と 研究者たちだから、つまりは”変人の寄合い”みたいなもの。

日頃、学術論文などでしか 存じ上げない方々との、アルコール注入後の会話は ぶっ飛んでいて、

ふだんは 慎重に胸に仕舞ってある試論を 真っ赤な顔で 力説しちゃったり、そりゃ最高に おもしろかった。

しかし こういう 場 に 作陶家が ほとんどいないのは、ちょっと さみしく せっかくの学びの機会を もったいないような気がした。

2007.11.21.


11月6日、松屋銀座 での 「中島克童 作陶展」 が 終了いたしました。

街路樹からふる 落ち葉を 楽しみながら通った、あっという間の 1週間。

思えば、ここでの 個展も 10年、時の流れの速さに おどろかされます。

そして、なにより 盛会でありましたこと、

心より 厚く 御礼 申し上げます。

2007.11.10.


いよいよ 来週 水曜、31日から 松屋銀座 の個展です。

灰釉 特集 、Viva Ash Glaze !

全日程 在廊いたしますので、ぜひ 遊びに いらしてください。

ところで、いつも だと 搬入前日まで 準備で バタバタ なのですが、

今回は めずらしく 早く 梱包も 整い、きのう は 午後から 半日 箱根 を ぶらり。

すすき の 中を 歩き、湖畔の じゃり浜 を踏み、お団子を食べて、硫黄泉の 掛け流し。

リフレッシュ して きました、  よっし  いよいよ だ !

          

2007.10.26.


先日の 窯焚きの 夜、今回 初めて 手伝いに来た方が、

夜の暗さ と 星の光り に 感激していた。

都会から来た人にとっては そうなのだが、

僕は これくらいだと 麻痺してしまっているのが 残念だ。

しかし、一度 見てみたい 星空 が ある。

それは モンゴルの北、もう  ロシアにも近い 辺境の地、

一面の 草に 覆われた 丘 を 登りつめると、 ポッカリ と 現われる 湖。

その 山上湖 は  まわりに  風景を なにも持たず、

ただ 空 だけを 映しているそうだ。

そして 夜 に なると 風が ぴたり と止み、

まさに 鏡 となった 水面は、満天 の 星空を うつすのだ。

ほとり に 立つ者は、 頭上 も 足元 も もう 身体の まわり すべてが 星空 と なり、

そのとき、 宇宙 に 浮く 自分に 気付く らしい。

2007.10.12.


登り窯 を 焚いた

火 と すごした 長く 熱い 時

火 と 語らい より添い けんかした

美しかった てこずった 苦しんだ

長く 熱い 時 を 火 と すごす

喜び と 苦しみに 熱狂 する

窯焚き

おもしろかった

 

2007.9.29

くたくた の みんな、ありがとう。


                                                                        きょう は 山ノ神 の 祭り

                              子供みこしが ねり歩く

                              コロコロ サッセー! ヤットー サッセー!

                              50なん軒か ある 村の家を

                              一軒一軒 ぜんぶ まわって 庭に 入って

                              玄関さき で バンザーイ! バンザーイ!

                              高い 秋の空に こだまする

                              ほかじゃ かつて ・ ・  と なった

                              そんな けしき が ここに ある 

                              コロコロ サッセー! ヤットー サッセー!

2007.9.17.

 

ね、その コロコロ・・って なに?

ん〜、 こう言うんだって。

ふうん。・・・??


朝 、  ふと  空を 仰ぎ  ドキッ と した 。

青空 に   月 。

あー 、 そう  あたりまえ なのだ 。

月 は 夜空で 過す 同じ 長さを 、 昼  こう して いたのだ 。

夜 、 星たち と 遊ぶ 月 からは、

とても 想像 できぬ  ・ ・ 愁い と 孤独 を 纏って 。

青空 で ひとり 、 こちら を じっと 見ている 。

いけない  ・ ・ 、  僕は 目 を 逸らした 。

あれ は 、   静かな 狂気 。

2007.9.4 


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